ジェルトロン開発者・田中啓介のブログです。

2020年3月27日金曜日

オリンピック開催中止から描く、本来の地球というステージ

3月17日未明のG7の報告で安倍首相は「東京オリンピック・パラリンピック(以下TOPと称する)は完全な形で実現する」と伝えた。これは世界中の選手が公平に参加できるという完全な形が整うまでは開催しないということであると理解している。私は2011年3月11日の東北地震による福島原発事故の発生以降、世論に反して開催地として日本の東京が立候補することに違和感を覚え、無理な開催に対して大きな歪みのエネルギーが発生し、これによって開催に困難が生じるとの思いを発信してきた。そして3年半前のこのコラムの13号ではTOPを辞退すべきであることを、さらには1年前の42号では「復興オリンピックという名の違和感」というタイトルで私見を記させて頂いた。私の考えに批判的なご意見もあると思うがなぜこのように感じるかというと、地球上における日本の現状を「魂の物差し」による判断基準に当てはめれば東北の復興という命の尊さを置き去りにした状態(3月10日現在での避難生活者47,737人)でのTOPの開催に対して宇宙(地球)の大きな見えざる力が作用し、正しい道にリセットするという浄化機能が働くことになり、地球環境の一構成要素に過ぎない人間の力ではコントロールができない状況に陥ると感じたからである。

私は今まさに損得の物差し(経済尺度)を外し、魂の物差し(宇宙法則)で現実を直視し、大きな見えざる浄化機能にすべてを委ねるというチャンスを神と称するに値する宇宙法則による力によって世界中に気づきをもたらしてくれていると思うのである。

スピリチュアル的な視座に立つと原発問題と新型コロナウイルスを合わせたTOPとの関係は全人類に向けた公平なアッセッション(次元上昇)メッセージであると表現することができると思う。

ここでオリンピックを誘致した際のことを思い出していただきたい。「世界一コンパクトな大会」にするとして政府と大会組織委員会が「国の負担分」や「関係予算」として公表してきた額は2880億円だが、費用は大幅に膨らみ、会計検査院が昨年12月4日に公表した集計によると、TOPの関連事業に対する国の支出は、すでに約1兆600億円に達している。国の支出以外にも、東京都が道路整備なども含め約1兆4100億円、さらに組織委員会が約6000億円を支出することになっており、オリンピックの関連支出は3兆円を超す巨額にのぼることが明らかになった。実に当初予算の10倍を超える費用である。予算の10倍を超えるというこんな無茶苦茶な事業を行うには一部の人間が儲かり、欲を満たすための仕組みになっていなければ成せる事業ではないということであり、それは同時にオリンピック精神とはかけ離れたものであるということに気づかねばならない。

 ここで、近代オリンピックの提唱者であるクーベルタンの言葉として「オリンピックで重要なことは、勝つことではなく参加することである」という有名な言葉がある。実はこれはロンドン大会(1908年)中の日曜日に、セントポール大寺院の主教が礼拝のために集まった選手を前に述べた戒めの言葉であり、「オリンピックの理想は人間を作ること、つまり参加までの過程が大事であり、オリンピックに参加することは人と付き合うこと、すなわち世界平和の意味を含んでいる」と考えていたクーベルタンはこの言葉に感動し、イギリス政府主催の晩餐会でこの言葉を引用して「人生にとって大切なことは成功することではなく努力すること」というスピーチを行い、それ以後オリンピック精神を表現する名言として世界に広まったのである。それにも拘らず、今マスコミの報道は延期・中止は「経済的な大損失」と「出場選手にとって死活問題」というコメントばかりである。

今一度クーベルタンの発したオリンピック精神の原点に回帰し、加えて経済尺度を優先したことにより今なお解決していない福島原発事故という教訓を生かし、宇宙法則に則り、負の歪んだエネルギーが積みあがる延期ではなく中止という潔く正しい判断と、それに伴う世界中の人々の勇気ある行動こそが平和で穏やかな本来の地球というステージを子孫に残すことに繋がると私は信じている。