ジェルトロン開発者・田中啓介のブログです。

2016年11月18日金曜日

「今この現実を真剣に生きる」

私は現在、京都府教育委員会認定のフリースクール「聖母の小さな学校」の運営協議会委員として微力ながら参加させていただいている。不登校の子どもたちのための学びの場であるこの学校に通い授業を受ければ、現在在籍している学校に出席したとして単位を認めて頂くことができる、全国で唯一のモデル的な学校なのである。

先月この学校で行われたスポーツフェスタで掲げられたパネルを見た時、私は大きな衝撃を受けた。二人の生徒によって作成されたパネルには、学校で同級生などから浴びせられた酷い言葉と共にその言葉や行為を受けた時の自分の心の中の叫びをそのまま描き、そして真ん中の人物はうずくまって苦しんでいた状態から顔を上げて上を向いており、その周りの光は正直な自分と向き合ってやっと出てきた希望が表現されている。

本人にとってはとても辛く苦しいことであったと思うが、それらを乗り越えこれほどまでに現実の自分を素直に表現できるようになれれば、自立した社会人として歩みを進めるスタートラインに立ったといえると思うのである。

生徒がそれぞれにふさわしいスタイルのスタートラインに立てるまでの道のりは筆舌に尽くし難い生徒自身とその家族の努力があることはもちろんであるが、その生徒と家族をしっかりと支え、この学校を運営されてこられた梅澤先生ご夫妻の慈愛に満ちたご努力があればこその賜物であると思う。

社会において、何事においても大多数の価値観が正しいと考えがちな一般常識が存在するが、少数の価値観を受け入れる心の広さを持つことの大切さを忘れてはならない。私自身「学校は休まず出席しなければならない」という価値観に疑問を持ったことがなかったが、その価値観は間違ってはいないけれど必ずしも正しいものではないことをも気づかせていただくことができた。

パネル上部にある「社会は不登校をマイナスにしか見ない。でも私は、この自分の不登校を真剣に生きている!」というメッセージは日本中に多くいる不登校の生徒達一人ひとりに大きな力を持った光となって一隅を照らすに違いないと思う。

世界中には学校に行かなくても様々な学びのスタイルによって人間として成長し、人の役に立つ素晴らしい功績を残した先人達が多く存在することを忘れてはならないと思う。





聖母の小さな学校 舞鶴市上安1697‐1 電話0773-77-0579
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