ジェルトロン開発者・田中啓介のブログです。

2018年6月26日火曜日

日大アメフト問題といじめ

日本中を騒がせた日本大学アメリカンフットボール部の悪質タックル問題で、6月21日に関東学生アメフト連盟はタックルをした宮川選手からに反省文を受け取り、そこには「指示があったとはいえ逆らえなかった自らの心の弱さ」と公式戦出場停止処分中の「日大アメフト部を早く復活させてあげてほしい」と記されており、そして自分はチームには戻らないことを明言しているとの報道がありました。

この問題は「いじめ」の構造そのものであると考えることが出来ないでしょうか。

小学校のあるクラス(日大アメフト部)にU君(内田監督)といういじめっ子のリーダーがいた。そのU君には子分のI君(井上コーチ)がいて、いつも二人が中心になってクラスで遊んでおり、U君の気に入らない人がいるとI君といじめたりすることが当たり前になっていた。そんなある日、隣のクラス(関西学院大学)とサッカー(アメフト)の試合をすることになった。U君はもし隣のクラスに負けたりすると威張れなくなるので、どんなことをしてでも勝たなければならないと考えた。そこでU君とI君はクラスメイトのM君(宮川選手)に「これからも僕たちと一緒に遊んでほしいなら隣のクラスのO君(奥野選手)にケガをさせろ!それができないならこれからもう一緒に遊んでやらない、そしてお前をいじめてやる。」と言ったのです。M君はいじめられたりするのが嫌だったので悪いこととは判っていながら、O君を突き飛ばしてケガをさせました。誰も見ていなかったらO君はM君に突き飛ばされてケガをしたということで、二人の問題として済まされていたことになっていたでしょう。この様な出来事はいたる所で繰り返されている「いじめ」と同じだと思うのです。

しかし今回はその様子をカメラで撮っていた人がいて大問題になりました。でももし誰もカメラで撮影していなかったら突き飛ばした証拠がありません。今回証拠があったということは神様がM君を正しい生き方に戻るチャンスを与えてくれたのだと思うのです。

そしてM君は自らの意思で、U君やI君にいじめられるのを覚悟し、さらには転校(退部)をすることをも覚悟して自分に指図したU君とI君の名前を出してO君や学校の皆に事実を伝えて謝りました。

ここで状況を整理しますとM君はU君とI君から「直接的ないじめ」を受けており、O君はU君とI君から「間接的にいじめ」を受けていることにもなると思うのです。

いじめの現場にはこのようなM君やO君がいるのです。M君やO君を助けることが出来るのは学校に於いてはクラスや部活の担任であり、友達が助けてくれることは殆どありません。M君のように親や家族に対して、友達からいじめられている様子を全て話すことが出来る子供はほんの僅かであり、ほとんどの子供は親や家族に心配をかけないようにと考え、全てを伝えることはしないのです。

今回の問題でとても残念で許し難いのは、学生を助けるべき立場にある指導者二人がいじめ行為を行ったこと、さらには理事長や学長までもが真摯にこの問題と対峙したとは言えないことです。証拠の映像が無ければ学校ぐるみで隠ぺいされていた可能性は大きいと思います。

少なくとも内田監督と井上コーチの二人がアメリカンフットボールというスポーツを行う目的をしっかりと理解できていたなら、そして単なる指導者ではなく教育者という大きな視座に立つことが出来ていたなら今回の行為は絶対に発生しなかったと思うのです。

(指導と教育の違いについては癒しの生活31をご参照頂ければ幸いです。)

今回の出来事を身近にある「いじめ」問題を見つめ直す、きっかけにしていただければ幸いです。



聖母の小さな学校・連携懇話会委員
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