ジェルトロン開発者・田中啓介のブログです。

2017年11月20日月曜日

万全の準備という気遣い


先月、東京虎ノ門ヒルズで開催された「イノベーション リーダーズサミット」というアジアで最も大きい、ベンチャー企業と大手企業とのマッチングイベントがあり参加させて頂いた。お陰様で弊社を今年の大手企業が選ぶベンチャー企業ベスト100に選定いただいた。また、先週は「第五回けいはんなベンチャーチャンピオンシップ」において優勝させていただくことができ、グランドチャンピオンになるとニューヨークでのベンチャーイベントに出場できるとのことである。

このように様々なベンチャーのイベントでプレゼンテーションを体験すると、如何にして審査委員や聴衆の方々に対して感動と共に記憶に残るパフォーマンスができるかといったことが重要であると感じる。そのためにはしっかりとした準備と練習が必要となる。先週のイベントも商品説明のパネルやカタログ、サンプル商品等を持参するため弊社のスタッフが四つの袋に分けて準備してくれた。いざ駐車場に到着し、イベント会場へ向かおうとトランクから袋を運ぼうとしたが、そのうちの一つが袋の取っ手よりパネルが上にはみ出ていたため取っ手を持つことができない。仕方なく駐車場から会場までの100m以上を雨の中、二回に分けて運ぶ羽目になった。ここで大切なことはスタッフが実際に自分で四つの袋を持って「体験による確認(シュミレーション)」をしておけば、もう少し大きな袋に入れるなどの対策ができ、一度に運ぶことができたということである。単に物をそろえる準備ではなく、会場でのプレゼンテーション完了までの情景をシュミレーションして準備していたなら、一人では持てないような状態での準備完了にはならなかったと思う。「万全な準備」と言われるが準備とは何かを考える出来事だった。

「万全な準備」と言えばある寺の出来事を思い出す。大僧正が風呂に入ろうとした時、風呂当番の若い僧侶が「お背中を流しましょうか?」と声をかけた。大僧正はその僧侶を見て「いや、いらん」と答えた。あくる日大僧正がやはり風呂に入ろうとした時、昨日とは違う風呂当番が「お背中を流しましょうか?」と声をかけた。すると大僧正は「ありがとう、宜しく頼む」と答えた。大僧正に何を判断して異なる答えをしたのかと尋ねると、最初の僧侶は作務衣を着た状態で声をかけてきた、翌日の僧侶はふんどし姿で手にはタオルを持って声をかけてきた、既に背中を流すための万全の準備ができていたから「宜しく頼む」と答えたというのである。

「万全の準備」とは心が行き届いており、即座にその準備内容が利用できる状態のことであり、相手に気を遣わせたり、さらなる準備を必要としないことであると思う。相手に気を遣わせないように気を遣うことが本当の気遣いのできる人ということになると思うが如何であろうか。

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