ジェルトロン開発者・田中啓介のブログです。

2017年3月14日火曜日

「目的と目標はどちらが大切?」

先日、ある商業者の集まりに出席した時のことです。「どうしたら売り上げを伸ばせるか、何を売れば儲かるか」といったことが話題になりました。私は「誰を喜ばすために何をどのように売るのか」といった商いの原点に目が向いていないと感じました。失礼ながらこの現状が今の日本の商業の実態であると思っています。

商業に限らず、どんな仕事でも必ず人に喜んでもらうことを目指さなければならないと思うのです。要するに人生の目的は、「お金を儲けて自分が喜ぶ」というのではなく「人を喜ばせて自分が喜ぶ」であると断言しても過言ではないと思っています。この考えこそが「利他の心」ということであり、これを実感することこそが自分自身の幸せを実感できるということだと思うのです。

この「利他の心」の実践の基本としてお客様と自分の間に一寸たりとも金銭尺度を入れないことが大切だと考えています。何故なら金銭尺度は絶対的に目標でしかなく、目的にはなり得ないからなのです。目的というものは数字で表現することができないもので、目的達成のために様々な目標を設定するのであり、目標はすべて数字に置き換えができるものです。逆の視点に立てば数字で表現できる目標を目的と混同して、目標達成に命を懸けることは目的が明確でないことの表れであると思います。

売り上げのために命を懸けるといった状況下においては、常に迷いがついてまわるものです。お客様が見えていないから、「何を売れば儲かるか」という迷いが発生するのです。目的と目標を常に分けて考える癖付けを徹底すれば迷いが消え不安が殆ど無くなります。目的と目標はどちらが重要かというともちろん目的です。何故なら読んで字のごとく、的(まと)は結果が出るところであり、標(しるべ)は的に到着するための効率的で効果的な通過地点にしか過ぎません。目的が明確じゃないまま、目標が達成できたとしても何のための行動だったのかということに再び迷いが生まれてしまうものです。

私は経営者の仕事の目的は、お客様に喜んでもらうことと同時に従業員の一人一人が仕事を終えて帰路に就くとき、「今日も仕事を通じてお客様に喜んでもらうことができて良かった」と従業員自身が喜び、幸せを実感できる仕事と環境を創造し続けることだと考えています。そして私自身はもちろん従業員の皆も「毎日を幸せに過ごすという人として共通の目的達成のために仕事をしている」ということを忘れてはならないと思うのです。
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