ジェルトロン開発者・田中啓介のブログです。

2017年10月23日月曜日

思いやりという幸せの尺度


先日、東京で開催された国際福祉機器展に出展し、その帰りに動く歩道を利用した時のこと。少し歩き始めたところで皆が立ち止まったので先の方を見ると電動の車いすが通路を塞いで止まっていた。電動の車いすは通常のものに比べ幅が広いうえに少し斜めに止まっているために追い越すことができにくいという状態だったので、ドキドキしながら注意しようとした時に終点となり、その車いすは勢いよく走り去っていった。駅へと急ぐ我々にとっては迷惑な行為と感じた。なぜ電動車いすでありながら動く歩道を使うのか理解し難い行為だ。障がい者専用の駐車スペースに健常者が駐車しているようなものではないだろうか。私は障がい者の方々をサポートさせていただく仕事をしているけれど、障がい者だからといってこのような行為は許したくない。健常者も障がい者もお互いに思いやりの心が大切だと思う。

ここで動く歩道についての歴史を見ると、1970年の大阪万博での使用が日本最初であり、これはイギリスをモデルにしており、片側を空けて利用するというマナーも同時に導入された。よって本来は片方を空けて急いでいる人は止まっている人を追い越しても良いということだったようだ。最近はエスカレーター利用時に事故防止の観点から歩かないようにというマナー変更をPRされているが、動く歩道の場合は現在「歩く派」と「立ち止まる派」があるようだから私の考えとは異なるご意見の方もあるかもしれないが、今回の事例を正しい行為だと肯定される方はどれくらいいらっしゃるだろうか?様々な考え方や価値観があるのは当然だけれど幸せな社会を創るには思いやりの心が基本になるものだと思う。

思いやりの心を大切にするブータン王国は経済的には世界ランクでは下位だけれど金銭的尺度ではなく「幸福度」という尺度をあてはめると常に世界でトップクラスである。幸福度の研究者によると、「幸福度」でトップクラスにある国々はそれぞれの国民の考え方や価値観が異なっても一つの共通点があるとのこと、それは国民の平均的心拍数が殆ど同じだということだそうだ。

「このハゲー」でマスコミを賑わし、今回の選挙で落選した議員の経歴は東大→ハーバード大→厚生労働省と、エリート街道であるが、人の心を欠いた暴言を吐くシーンがテレビから流れるたびに「心臓がドキドキする」と言った人がいた、国民の心拍数を不安定にさせる議員の存在自体が日本の幸福度を下げることになっているとは言えないだろうか。学歴やエリートという経歴だけでは幸せな社会は創れない。心拍数を一定に保つためには地位や名誉や金銭尺度を重要視することを止め、利他の心を大切にし、互いを思いやることが常識化することができれば心拍数は安定し、幸せな社会ができると思うのだが如何であろうか?
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