ジェルトロン開発者・田中啓介のブログです。

2017年1月16日月曜日

「医療・介護の主人公は?」

先日、弊社の従業員が急激に体調を崩し、病院に行った時の出来事。本人は前日の帰宅時に自転車で転倒し、首や頭や腰に大きな衝撃を受けていたとのことであり、当然それが原因と判断した先輩たちが総合病院に連れて行った。病院の受付では「受付時間が過ぎているので診察できない」との事務的な返事が返ってきた。しかし、立っていることさえもできない状態であったため、再度強く診察いただけないかとお願いした。すると、「救急車で来られた患者以外は診察しません」との返事が返ってきた。先輩たちは「では救急車を呼んでください」とお願いした。しかし、受付担当者は「自分で救急車を呼んでください」というのでその通り、その病院の玄関に救急車を呼んだ。先輩は駆け付けた救急隊員に経緯を伝え、ほかの病院に救急搬送してくれるようにお願いした。救急隊員は事情を素早く理解し、あたたかく次のように答えてくれた。「あなた方は冷たい対応を受けられたことで、この病院で診察してもらうことに不安があるかもしれませんが、私たち救急隊員の判断としては救急患者として他の病院に搬送するよりもこの病院で診察を受けることが望ましいと考えます。よって、私たちが診察いただけるよう病院と交渉します」。

そして交渉いただいた結果、診察いただけることになり安堵したところに一人の看護師がやってきて「あなた方は救急車をタクシー代わりに使ったんですね!」と耳を疑う心ない一言を言い放ったのである。

弊社も医療介護に関わる商品を製造販売させていただいているだけに、ご使用者や患者さんの立場に立った対応を常に心がけてきているが、他人事ではなく改めて仕事の目的は何かを従業員と共に確認した次第である。

1999年に東京ビッグサイトで開催された医学会総会に弊社開発のジェルトロン(当時はインテリジェル)マットレスを出展した際、殆どの医療従事者から「この商品は寝心地や機能はいいがセッティングに手間がかかるから使えない」と言われた。そこで、「あなた自身が寝たきりになったとしたら、今あなたの病院で使用しているマットレスとこのジェルトロンとではどちらを使いますか」と尋ねると、殆どの方がジェルトロンと答えてくれた。現在はかなり変化してきているが、この時点では医療・介護の現場の主人公は患者ではなく、殆どが医療従事者であったのである。医療の目的を正しく理解し、ナイチンゲール精神を実践して頂ける医療従事者が一人でも多く舞鶴にいて頂くことを願いたい。



その翌日、早速病院から現状調査の報告と共に謝罪にお越しいただいた。その素早いご対応には学ばせて頂くべきところが多くあり心から感謝している。
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