株式会社パシフィックウエーブ 代表取締役・田中啓介のブログです。

2013年5月10日金曜日

目的と目標(その6 眠ることを優先されないマットレス)

4月18日~20日にインテックス大阪で開催された「バリアフリー展2013」に出展させていただいた。昨年の東京国際福祉機器展同様、多くのお客様に弊社のブースにお越しいただき感謝の念でいっぱいである。

今年はご来場いただいた方々に対し、以下の私の率直な疑問を問いかけさせていただいた。

「褥瘡(床ずれ)ができたり、また床ずれができそうな寝たきりの人に対し、多くの場合エアマットの使用を勧めていますが皆さんの中で自宅でエアマットを使用している方があれば手を挙げてください。」

3日間で数十回同じ質問を繰り返したが予想通り誰一人手が挙がらなかった。少し前の介護の展示会で複数のエアーマットメーカーのブースを訪れ、エアマットの商品説明をしてくれた担当者に同じ質問をしたが、予想通りエアマットのメーカーの社員でさえも自宅ではエアマットを使用していないという結果だった。なぜ使用しないのかと質問すると床ずれ対策用のマットだから我々健常者は使わないという。なぜ健常者が使わないのかと訊ねると、「寝難いから」とのことであった。実際に私も何度もエアマットに寝たことがあるが日常使用をしようと思えるものではない。

特に床ずれができている人の場合、ポンプ圧を下げマットと体の接地面積を広げることによって体圧分散性を高めるようにしての使用方法となる。この状態では横隔膜が両サイドから圧迫を受けながら、さらに高いまくらを使用している状態となり、呼吸が少しし難くなる。

この状態を体験するには両腕を体の前で大きく交差させ、顎を引いて深呼吸をしてみればいい。如何に呼吸が窮屈になるかがよく理解できる。要するにマットレスというものはリラックスした自然な立ち姿勢で、無意識の呼吸ができる姿勢のまま寝ることができることが最も望ましい。私がウォーターベッドの開発をしていた時もこの自然な立ち姿勢をベッド上で再現できるように研究を進めてきた。

普通の呼吸がし難い姿勢での睡眠は自然治癒力をも低下させることになる。

健常者でさえも寝難いと感じるマットを、なぜ寝たきりの高齢者や障害者に使用するのか?

特に医療施設の場合は「褥瘡対策未実施減算法(一人一日当たり診療報酬を5点減額するというもので、一人でも褥瘡を発症させてしまうと、例えば500人の入院患者がいる病院の場合は500人分全て減額されてしまうので年間で約900万円の収入減になるというもの)」に抵触しないことを意識しすぎてしまうと床ずれをつくらない事が第一に優先され、人間の尊厳を守る上で基本となる呼吸の重要性を忘れてしまっているのではないかということになる。マットレスに求められる機能として最も重要なのは、普通の呼吸ができるということであり、床ずれ対策を主とした体圧分散性であってはならないのである。 

さらに類似した話となるが、寝たきりの人は殆ど自分で寝返り(体位変換)ができない。その場合、家族や介護者に頼らないで自動的に体位変換をさせてくれるという高機能のベッドやマットが開発されているが、夜中の睡眠中も数十分おきに強制的に体位変換をさせられると、その度に睡眠が中断され、目が覚めてしまうことになりかねない。 床ずれを発生させないための体位変換であるが睡眠を妨げてしまうと精神的にも肉体的にも大きなダメージとなる。
 
眠れなくても床ずれができなければいいのか?

生まれてから死を迎えるまでの過程において、どんな健康状態であろうと生命維持の基本となる呼吸と睡眠を正しく保つことがマットレスに求められる究極の目的であり、その目的を達成するために体圧分散性に優れた床ずれの対策もできるマットレスの開発という目標が設定されるべきであると考える。

そうしてGELTRONマットレスは生まれたのである。「百聞は一見に如かず」まずはご体験を!!