ジェルトロン開発者・田中啓介のブログです。

2016年5月2日月曜日

真の豊かさ

私が以前、家具店を経営していたときのことです。舞鶴と福知山に店舗がありました。
 創業40周年記念で「アメリカに研修旅行に行こう」ということになりました。社員が30名ほどいましたので、半分ずつの2班に分けて同じ場所を回るというスケジュールを私が組みました。
 出発の2週間ほど前に、海外がはじめてという社員のために、入国時の書類をどのように書くのか等、説明会を開催しました。
 そしていよいよアメリカに行き、1班の研修旅行が無事終了し1班を見送り、引き続き2班が到着するのをロサンゼルス空港で待っていました。そこで、問題が発生したのです。
 入国管理局でパスポートと入国申請書を提示したとき、ある社員がその書き方を間違えたらしく、ひとり別室に連れて行かれて、思わぬ時間ロスが発生したのです。
私が「どこを間違ったの?」と聞くと彼は「SEXと書いてある、女と男の箇所だった」と答えました。
性別はManWomanじゃなくて、MaleFemaleで書くことになっているので、男性はMに丸印をつけると説明しましたよね!というと、彼は「それをうっかり忘れてしまい、福知山店勤務なものでFに○をつけてしまいました」と言うのです。
なぜそう考えたかと訊ねると、「左隣の舞鶴店の○○君がM、右隣の□□さんがFに○をしていました。だから私は福知山店=F、舞鶴店=Mと書かなあかんと思ったのです」と答えたのです。 
彼は60歳で、海外旅行は初めての経験で、今までの人生で英語に触れることは殆ど無く、さらに両隣を見ると、舞鶴店勤務の同僚の男性がM、福知山店勤務の女性がFに印を付けているから、F=福知山勤務で間違いないと確信したということでした。
 これは笑い話として、皆様にご紹介しましたが、このようなことがわれわれの身の回りでも発生することがあります。例えば日本の常識が世界の非常識と言われることがあります。われわれは豊かさというと、無意識にお金の尺度を用いて、「富の豊かさ」を考えてしまいますが、地球規模で真の豊かさを考えると正しくは、やさしさや思いやりといった「心の豊かさ」が正しいということになると思うのです。

自分の価値観だけに囚われて、自分の勤務地をアメリカ入国時に記入した彼の行為は、笑い事ではなく、真の豊かさに気づいていない大多数の日本人といえるように思うのですが、如何でしょうか?